HOME > 支援・復興に向けた政策提言 > 活動2年目に向けて(事務局長メッセージ)

活動2年目に向けて(事務局長メッセージ)

2012-05-05

2012年5月5日「東日本大震災子ども支援ネットワーク」活動2年目に向けて 事務局長メッセージ
東日本大震災子ども支援ネットワーク事務局長 森田明美

PDF版はこちら事務局長メッセージ20120505

1.東日本大震災子ども支援ネットワークの1年目の成果
(1)設立と活動の経過東日本大震災子ども支援ネットワーク(以下、子ども支援NWと略す)は、呼びかけ団体である公益財団法人日本ユニセフ協会、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、NPO法人チャイルドライン支援センター、NPO法人/国連NGO子どもの権利条約総合研究所の4つの団体が、東日本大震災から約2か月後の5月5日子どもの日に設立しました。子ども支援NWは、大震災からの復旧・復興に際して、国連・子ども(児童)の権利条約の趣旨・規定に基づき、「差別の禁止」、「子どもの最善の利益確保」、「生命・成長の保障」、「子どもの意見の尊重」をはじめとした子どもの権利を基盤にして子ども支援や子育て支援を進める新たなネットワークをめざしました。子ども支援NWには、NGO・NPOなど30団体が賛同し、ともに活動しました。設立から1年、東洋大学森田明美研究室における事務局活動を中心に、毎週水曜日の活動日、月1回の運営委員会によって運営してきました(主な活動内容については、参考資料を参照)。子ども支援NWの結成から2年目を迎える5月5日に際し、この活動の継続・発展をめざして、事務局長からのメッセージを送ります。
(2)成果
①大震災からの復旧・復興において、子ども参加の居場所づくりやユニセフがいう「子どもにやさしいまち」づくりに向けた取り組みを支援するなかで、子どもの権利の視点に基づく取り組みを具体化してきました。②「子どもの目・子どもの声」を、子ども参加の活動を進めながら収集し、それらを中心に世界各地の支援者の声も集めて、子どもの視点を発信してきました(ホームページ参照)。③子どもの権利の視点で子ども支援を展開することの意味について市民社会や行政等に伝えつづけ、大震災からの復旧・復興において子どもの権利の視点に基づく連携・協力のあり方を示してきました。④子ども支援NWの「提言」や「東日本大震災子ども支援意見交換会」等を通じて、国会議員や関係省庁や被災地の自治体に対し、被災地での取り組みを踏まえながら、子どもの権利に基づく復旧・復興の重要性や具体的な課題について明らかにしてきました。
(3)課題
子ども支援NWに参加する団体がどのような活動をしているのか、とりわけ子ども参加に関する情報の収集や広報について、参加団体の情報とのリンクや共有が難しく、結果として情報共有についてHPを通して行うという点で課題を残しました。

2.子ども支援NW2年目への取り組みとその方向性と活動内容
私たちは、東日本大震災から1年が経過し、子どもたちが東日本大震災で未曾有の悲惨な体験をしたことを決して忘れないことを決意し、親しい人を奪われたり、大切なものを失ったりしたことの、悲しさや不自由さを子どもにとって決定的な被害にしないために、子どもの最善の利益を考慮しながら、より適切に回復できるようにする努力が求められ、その努力ができるかどうかが子どもたちから、また被災地から問われていると考えるにいたりました。大震災からの復興において国連・子ども(児童)の権利条約を基盤にして子ども・家族支援を展開してきた私たちは、子どもを中心にした子どもの参加による支え合いの関係を取り戻すことによって、新しい家族や集団・地域の再生は可能であるという確信を持っています。今後の子どもに関わる震災復興は、市民社会が今後も継続的な支援を子どもの権利の視点に立って進めることがいっそう求められます。被災地における市民社会による子ども支援は、単に経済的、ただの労働力としての関与だけでなく、市民社会のネットワークの広さ、専門性や迅速性が発揮され、これまでの自治体施策や既存の福祉施策が実現できなかった新しい支援として実現していくことが必要です。そのことが、子どもの権利条約の実現、子どもの権利基盤の整備につながっていくことになります。そうした意味で、市民・NPO間、市民・NPOと自治体や政府あるいは企業、さらには人と人、機関と機関をつなぐ東日本大震災子ども支援ネットワークの役割は、今後もいっそう重要になると考え、2年目も以下のような活動を展開していきます。
(1)活動の柱 基本的には、昨年度展開してきた3つの活動の柱を継続します。2年目にあたっては、特に③の政策提言活動に重点を置いた活動を展開していきます。
①被災した子どもや子育て家庭支援・復興支援に関わる情報の収集と発信
②子どもの権利条約を基盤にした子どもや子育て家庭支援・復興支援者・団体のネットワーク
③子どもや子育て家庭に対する支援・復興に向けた政策提言
(2)主な活動内容
①被災地と市民社会、自治体・政府、議員等とをつなぐ、国会などでの意見交換会の開催
②被災地での意見交換会等の開催
③子ども支援・子育て支援に関わる子どもにやさしいまちづくりの実現に向けたシンポジウムの開催
④復興における子ども支援、子ども参加についての具体的な取り組みの紹介と活動への支援
⑤定例運営委員会の開催と情報交換
⑥子ども支援NWの活動に基づく「提言」の発表 以上の活動について、ホームページを通じて発信していきます。
(3)運営
①2年目の運営は、公益財団法人/日本ユニセフ協会、公益社団法人/セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、NPO法人・国連NGO/子どもの権利条約総合研究所の3団体を中心に、新たな運営委員を参加団体から加え、運営委員会を補強して活動します。
②参加団体やアドバイザーについては、適宜参加の意思を確認して進めます。
③事務局は引き続き、子どもの権利条約総合研究所・東洋大学分室である森田明美研究室におきます。
〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20 東洋大学白山校舎2号館森田明美研究室気付
E-mail : info@shinsai-kodomoshien.net
TEL ・FAX 03-3945-7481
④なお、活動資金は、原則として運営団体が負担し、適宜寄附を受けます。


参考資料:
主な活動報告1.政策提言活動国会議員被災地域の議員や行政との意見交換会復興支援に関わる子どもの権利の視点に立った提言活動などをした。
(1)東日本大震災子ども支援にかかる国会議員との意見交換会の開催
①第1回5月26日「東日本大震災・子ども支援のあり方と提言」
②第2回9月1日「東日本大震災子ども支援の現状と子どもにやさしいまちづくりの可能性」
③第3回3月8日「市民社会との協働の取り組み」

(2)提言の発表
①復興構想会議第一次提言「復興への提言」案に対する意見(6月20日)
②宮城県震災復興計画への提案(案)に対する意見(8月4日)
③震災1年を迎えて(3月8日)

2.情報・意見交換、交流活動
(1)被災地域での交流活動
①宮城県議会こども政策研究会への協力(コーディネータ)「東日本大震災で被災した子どもや子育て家庭・復興支援についてNPO/NGOのみなさんとの意見交換会」宮城県議会に従来あったこども政策研究会の協力要請に応じて、事務局長と運営委員が県内の被災児支援に関わっている個人や団体と議員との議論の調整を行った。(5月20日)
②岩手県山田町での活動(2012年3月14日 呼びかけ人)・山田町の行政担当者や子ども支援活動関係者の意見交換会をよびかけ、山田町ゾンタハウスで4団体と町の担当者が集まり意見交換会を実施。
(2)シンポジウムの開催・子どもにやさしいまちづくり(1月22日)「東日本大震災・原発事故からの『提言』」を東洋大学で開催
(3)シンポジウム・講演会などへの参加・日本弁護士連合会主催「震災問題に関する国際人権セミナー」(国連人道官との意見交換)での報告(6月24日)・第2回アジア子どもの権利フォーラム2011日本大会での報告(11月20日~21日)・法務省・人権教育啓発推進センター共催「人権シンポジウム in 仙台 震災と人権~一人一人の心の復興を目指して~」(2月11日)・人権教育啓発推進センター平成23年度「会員特別セミナー」「東日本大震災における子ども支援」(2月17日)

3.情報化・インターネット上のホームページ(URL  http://shinsai-kodomoshien.net/)を立ち上げ、子どもの目・子どもの声という投稿の場を設定し(このコーナーは携帯電話からのアクセスも可能にした)、子どもたち自身が震災と復興に向けた気持ちを投稿し、その意見を大人が読み、支援に活かす取り組みをしている。被災地の子どもたちのメッセージに応える形で世界中の子どもの権利に関わる専門家や子どもたちなどからの投稿は、200を超えている。
・東日本大震災子ども支援ネットワークの活動が取り上げられた新聞記事
毎日新聞2011.5.30
朝日新聞2011.6.12
河北新聞記事2011.7.17
朝日小学生新聞2011.7.24
毎日新聞2011.7.31
読売新聞2012.2.29
4.子どもの参加の実現・岩手県山田町での子どもと大人の交流会(3月14日)
5.運営・毎週水曜日に事務局活動、毎月1回運営委員会を実施した。・予算は呼びかけ団体で負担するという原則に従い、100万円の予算を拠出し、事務局の運営をした。

 

↑ページトップへ

Copyright© 2011 東日本大震災子ども支援ネットワーク All Rights Reserved.