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東日本大震災から1年にあたって

2012-03-11

東日本大震災子ども支援ネットワークからの提言      2012年3月8日

1.震災復興における子ども支援に必要な視点私たちは子どもたちが東日本大震災で未曾有の悲惨な体験をしたことを決して忘れないことを決意し、親しい人を奪われたり、大切なものを失ったりしたことの、悲しさや不自由さを子どもにとって決定的な被害にしないために、子どもの最善の利益を考慮しながら、より適切に回復できるようにする努力が求められ、その努力ができるかどうかが子どもたちから、また被災地から問われていると考えています。震災復興において国連・子ども(児童)の権利条約を基盤にして子ども・家族支援を展開してきた私たちは、子どもを中心にした(子どもの参加による)支え合いの関係を取り戻すことによって、新しい家族や集団・地域の再生は可能であるという確信を持ちながら、この1年間の活動を踏まえて、以下のことを提言します。

2.震災復興における子ども支援に関する提言
(1)子どもの権利を基本においた子ども支援 復興の基本的視点の一つとして、子どもの視点、子どもの権利という考えと手法をすえ、国連・子ども(児童)の権利条約の趣旨や規定に基づく子どもおよび家族支援、学校・施設等の再構築、コミュニティ・地域の再生を図り、ユニセフのいう「子どもにやさしいまち」づくりを推進すること。
(2)子ども参加の多様な促進国連・子ども(児童)の権利条約や「子ども・若者ビジョン」の趣旨等を踏まえ、当事者である子どもの意見を聴き、多様な方法・形態で子どもたちが参加して復興することを原則にして(防災を含む)計画をつくり、実施していくこと。
(3)支援者の支援 震災から1年、保育士や教職員をはじめ子ども支援に直接携わる人たちは自らも被災しているにもかかわらず、休むことなく子ども支援に奮闘しています。保育士や教職員等の子ども支援に携わる人の休息の保障、メンタルケア、増員を含む人員の配置や就労条件の整備など、支援者への支援を速やかに行うこと。
(4)子どもにかかわる分野の横断的なネットワーク 医療、保健、福祉、教育など子どもにかかわる多様な分野の施策が総合的に実施されること。「縦割り的な」行政の壁を取り除き、目の前にいる子どもを中心において、関係する施策を総合的に展開にするために横断的なネットワークをすすめること。
(5)保護的支援と環境整備の重層的な展開 子どもが家庭や地域で健やかに育つためには、DVや虐待等を含むあらゆる暴力から子どもたちが守られること、親を失った子どもたちが家庭的な環境で育つことができ(家庭的養護の推進)、差別などから守られ、安心して生活できるよう安全・安心な地域づくりという、家族や地域の状況を見極めた支援を重層的に展開すること。
(6)行政と市民社会との協働の推進 震災復興においては、新しい行政と市民社会との協働が始まっています。この協働をいっそう効果的に展開するために、コーディネーター役をつくり出すこと、およびそのコーディネートの方法をさらに工夫していくこと。
(7)支援の継続 震災復興には当然のことながら、物理的な環境の整備のみならず、人の心の回復も必要です。それには長い時間がかかります。「忘れない」ということを含め継続的な支援を展開するためにあらゆる取り組みをすること。何らかの形で支援者も生きていける方法として社会的企業、NPOなどへの支援方法も早急に開発が求められています。
(8)法的整備の充実復興における法的基盤として、国連・子ども(児童)の権利条約の趣旨や規定を踏まえ、国レベルでは、「子ども基本法」(仮称)の制定、自治体レベルでは、「子ども条例」(仮称)を制定し、子ども支援、子育て支援を推進すること。

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