東日本大震災から8年目、子どもたちに寄り添う支援継続の必要性
東日本大震災から8年目、子どもたちに寄り添う支援継続の必要性
2018年3月11日
東日本大震災子ども支援ネットワーク
PDF版はこちら→shinsai_kodomo20180311
2018年3月11日、東日本大震災から7年が経過し、8年目となります。
2017年は、2016年4月の熊本・大分地震から2年が経過し、7月上旬には、
福岡県と大分県を中心とする九州北部豪雨が子どもを含めた死亡・行方不明者40名
以上という甚大な被害をもたらしました。災害の影響を受ける子どもたちの数は
減ることがありません。
<復興「格差」の拡大>
東日本大震災の被災地では、7年を経て、高台移転による造成宅地や災害公営住宅の
整備などハード面での復興がようやく進んでいるなか、心の復興は簡単には進まない
状況です。
様々な悲しみや困難を抱えながらも、周りの支援を受けながら回復していく
子どもたちやおとなたちがいる一方で、今も心の傷が癒されない子どもたちや
おとなたちもおり、心の回復における差が拡大しています。福島原発事故による
被害からの復興は展望が見えないままです。
発災から時間を経るなかで、震災直後とは異なった、子どもたちや家庭の新たな
問題も顕在化してきています。震災当時幼かった子どもたちが、思春期をむかえ
不安定になったり、親になっても、子育てに不安を感じたり、震災後に生まれた
子どもたちが、震災を経験した親たちの心の傷が癒えないなかでの子育てに
影響を受けているなどの報告があり、こうした問題は、今後も増えていくと
思われます。
東日本大震災から7年を経てもなお、70,000人以上の人たちが住み慣れた家や
地域を離れて避難生活を余儀なくされています。福島県では、18歳未満の
18,000人の子どもたちが避難生活です。避難や仮設住宅への入居、転居など、
地域コミュニティが分断される状況のなかで、震災前の地域の支え合い関係にも
変化が生じ、生活困窮や貧困の問題が顕在化している地域もあります。
子どもたちが家庭の様々な状況に影響を受け、安心した生活をおくれない
状況があります。
他方で、意味あるおとなたちと出会うことによって、
次に向かってチャレンジしている子ども・若者たちがいます。
<20年間の継続的支援の必要性>
私たち東日本大震災子ども支援ネットワークは、2011年5月の発足以来、
国連「子どもの権利条約」の趣旨や規定をふまえた被災地での子ども支援の
あり方を提起する活動をおこなっています。震災から8年目も、
子どもたちや子どもに関わるおとなたちの発言を丁寧に聴き取り、
継続的な対話を続け、子どもの最善の利益の具体化を実現するための活動を
継続していきます。
阪神・淡路大震災の際にも、行政による子どもたちの心の支援は、
15年間継続され、震災後20年間の支援の必要性が語られました。
私たちは、東日本大震災の支援事業においても、震災から20年をひとくくりと
して、子どもたちに寄り添う支援を継続するべきだと考えています。
そのためにも、継続的に支援をおこなう場所の設置および支援者の育成を
市民社会との協力によって、国や自治体が責任を持ってすすめることが必要です。
8年目を迎えてとくに必要な支援
これまで、私たちは、震災1年目から7回のメッセージを発信してきました
(http://shinsai-kodomoshien.net/?cat=53)。これらのメッセージの中で提起
された、災害子ども支援活動に求められる視点や「子どもの暮らし復興」に向けた
提案は、東日本大震災後8年目の今も必要とされています。
そのうえで、長期的な支援を展望しつつ、とくに以下の点が重要であると考えます。
① 長期的に子どもたちが集い活動し支援を継続できる拠点づくりとそれを支える
人材の養成
② 被災地から全国に避難している子どもや家庭に対する支援
③ 被災時やその後の子どもたちの状況および支援の取り組みなどを明らかにする
『震災子ども白書』(仮称)の作成
④ 子どもたちの参加による震災を語り継ぐ方法の開発や教材など取り組み
わたしたちは、今後とも行政や様々なNPO/団体などとのネットワークを保ちながら、
発信と連携を強めていきます