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民主党ヒアリングでの提言内容メモ(2011年3月29日)

2011-05-26

2011年3月29日

大震災の被害を受けた子どもへの支援・復興に向けた取り組みについて

子どもの権利条約総合研究所
代表 喜多明人(早稲田大学教授:教育学)
副代表 森田明美(東洋大学教授:児童福祉学)
事務局長 荒牧重人(山梨学院大学教授:法学)

 

※緊急支援については、その経験を持ち、すでに活動を展開している専門家やNPO等を「後方」から支援している状況ですので、それらの団体の提案を尊重します。

<支援・復興の前提となる子ども・家族の被災状況の把握とその緊急対策>
1.子どもの被災状況の把握
(1)保護者を失った子ども:
①地域ごと年齢と人数の確認:保育所や学校を通して
②ケアの確保
・親族無←集団で預かる(養育里親の適用、グループホーム)
・親族有←個別に預かる(親族里親の適用)

専門的支援を乳児院・児童養護施設が行う。
緊急の「シェルター」となる代替的な施設も必要となる。
支援者としてNPOや学生の組織化

(2)保護者が行方不明の子ども:
・一緒に有る程度まで自宅近所で、友達と待つサポート体制
・支援者としてNPOや学生の組織化

(3)傷ついている子ども:

・心と体についてのケア

2.子育て家庭の被災状況の把握

(1)保護者が養育にあたれない-原因:怪我・病気、復興等
・養育支援(場と物資、人)
(2)家計や養育材料の確保
・お金、場所、支援(心と体、暮らし)者である市民ボランティア、支援者を支援する専門家、教育と医療、福祉の協働

<支援・復興の原則>

国連・子どもの権利条約の一般原則である「差別の禁止」、「子どもの最善の利益確保」、「生命・成長の保障」「子どもの意見の尊重」を基本にして、子ども最優先(チルドレンズファースト)を実現する国レベルでの法律の策定および自治体での条例の制定を促す。それらにより、子ども支援を中心にしたコミュニティ・地域の再生を図り、ユニセフのいう「子どもにやさしいまち」づくりを推進する。

*子どもの笑顔・笑い声が被災者・被災地を元気にし、日本を励ます。

<支援・復興計画で必要な総合性・重層性・多様性>

教育・福祉・保健医療など縦割り行政を超えた総合的な計画が必要である。
と同時に、避難センター、市町村、県、そして国レベルでの重層的支援計画の策定と支援の実施が求められる。さらに、親・保護者を亡くした子どもの支援を含む家族の状態別支援乳児・幼児・児童期・青年期等の成長段階別支援等の多様な支援計画も大事である。
加えて、支援者に対する支援も必要である。
また、緊急、半年~1年程度の短期、1~3年程度の中期、それ以降の長期と相対的に段階を整理した計画の策定が必要である。

 

<支援・復興の方法で忘れてはならないこと>

今後の復興計画は、当事者である子ども・若者の意見を聴き、子ども・若者たちも参加して復興することを原則にして計画をつくり、実施していく。
行政、公的な機関・者(学校、施設、全社協・民生委員等)、企業、専門家、NPO、ボランティアなどによる支援・復興に関わる連携の仕組み・システムを構築していく。
→そのために必要なこと:視点、人、手法
※東日本全域を巻き込み、多くの子どもや保護者が被災を体験している今回の体験を「子ども・若者ビジョン」実現の機会として捉える。保育や教育など子どもの育ちのピンチを、子どもと一緒に日本を復興していく機会に転換する。

 

<提案>
1.「子ども支援・子育て支援基本法」の制定-中長期の支援・復興をふまえた場合においても不可欠である。
2.子ども支援・復興計画の策定      上記の視点が必要である。
3.(支援の基本)

(1)保護者がいてもできないこと:どんな時どんな所にも必要な原則
①安全・安心の環境確保
・食
・空気
・家庭的環境
・コミュニティ環境

②居場所づくり
-子どものさまざまな集団をどんな時でもどこにもつくる。
※託児ニーズにも応える。

③遊びの確保
・遊ぶ場所、仲間、時間、ツール(おもちゃ・絵本・折り紙・紙・筆記用具等々)の確保
・支援者の確保

④学びの確保
・学ぶ場の整備、学ぶ手段・材料の確保、学ぶ仲間づくり
-つながりの学びを展開する
・授業時間、カリキュラム等の柔軟な運用
・通学の安全の確保-通学サポート、スクールガードのボランティア
・子どもに対する個別の学習支援
・教師のサポート体制-退職教員、代休教員の活用、心理的ケア

⑤経済支援
・山ほどありますが、そのなかでも被災時・者の保育・教育(高校まで)の「修学費」無料化、大学の授業料納入の延期
-状況に合わせた多様な生活支援、就労支援と組み合わせて

⑥心理・福祉相談支援の強化
・被災した子どもや親に対し心療心理士(スクールカウンセラー)・児童精神科医あるいは民生委員をはじめ相談・支援に当たる人を募集・派遣
・既存の相談窓口の出張相談あるいは柔軟な運用
・チャイルドラインほか民間の取り組みの広報と活用

*食の確保について
・発達に応じた食料品(ミルク・離乳食・普通食)とアレルギー児に対するアレルギー食の確保等きめ細かな食料品の確保
・食料品にアレルギー各種の表示の徹底
・安全な飲料水の確保

*避難所等の居住環境
・人目を気にせず授乳及びおむつ交換等実施できる場所の確保
・泣きやまない子どもに対応できる個室の確保
・子ども達が自由に遊べる場の確保(保育士、サポーターの確保)
・暖が取れ最低限の衛生が確保された環境(看護師および保健師の確保)
・親と離れ離れになった場合の親にかわる養育環境の整備と精神的ケアへの対応
・障がいのある子どもが問題行動を起こしても対応できる場所や支援者の確保等、障外のある子どもへの理解ときめ細かな対応

(2)保護者がいない(養育に専念できない)ことで必要となる支援
①社会的養育=緊急に代替的な環境が必要
児童養護施設
里親(被災時特別養育里親の任命)
-里親が相談に乗れる人と場所の確保
②学童保育

③保育所
安全・安心な場所での養育環境の確保
食などのライフラインと職員が確保できる場所で受け入れる。
給食提供施設への安心食材の確保(弁当づくりは無理)

(3)特別な支援が必要な子どもに対する支援
・障がいのある子ども
・病気の子ども
・日本語を母語としない子ども
・引きこもりや不登校の子ども

(4)子育て支援
・親と子が震災での出来事を話し合い・集い遊べる場の確保
・親が安心して生活の復興に従事できるように、保育や教育、放課後の子どもの居場所を居住場所に整備する
・親が被災地の後片付け等の時に親と離れ集団保育(簡易保育所など)できる環境の整備
・親と子への心のケア(夜泣き・プラッシュバック等)への専門的対応(臨床心理士・カンセラー・いのちの電話等)

※ボランティア学習、つながり(支え合い)の教育の推進
-ボランティアを教育課程に位置付ける。(教師が実施するのではなく、市民やNPOの活動に子どもを託す)
-大学生のギャップイアーを震災の推進:復興支援に関与する学生の承認

 

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