「子どもの権利条約」とは
- Q1:子どもの権利条約とは何ですか?
- Q2:子どもの権利条約には何か特徴はありますか?
- Q3:子どもの権利条約は、どのような内容がありますか?
- Q4:子どもの権利条約の基本原則は何ですか?
- Q5:子どもの権利条約を子どもにわかりやすく説明するには、どうしたらいいですか?
A:「児童の権利に関する条約」とも呼ばれ(the Convention on the Rights of the Child)権利を保障するために定められた国際人権条約です。1989年に国際連合の総会によって全会一致で採択され、1990年に国際的に発効しました。
それまでにも、すべての人々を対象とする人権条約は存在していましたが、子どものもつ特徴(成長発達の過程にいること、特別な保護や援助を必要とすることなど)に配慮し、子どもの権利に特化した国際条約が必要と考えられたものです。
子どもの権利条約は、国際人権条約のなかでも、生存、発達、保護、参加等、市民的、政治的、経済的、社会的、文化的権利を含む、最も包括的なもののひとつです。また平常時も、緊急時(災害、紛争など)にも適用されます。か国が加盟しており、最も幅広い国際的支持を受けている国際人権条約です。
日本も1994年にこの条約を批准しており、国内では憲法に次ぐ位置づけが認められています。子どもに関するさまざまな事柄は、この条約の理念と規定を踏まえて決定・実行されなければならないのです。
A:主に3つの特徴があります。
特徴のひとつは、子どもを主体性のある権利の保持者としてはっきりと位置づけ、その権利を総合的に保障した、初めての国際条約であるということです。保護の対象である受身の存在、援助の受益者、親に属する存在といった、従来の子どもの位置づけを覆しました。子どもの権利条約では、子どもが、自分に影響を及ぼすすべての事項において自己の意見を表明し、その意見が尊重される権利を認めています。成長発達段階にいる子どもへの特別な配慮、社会的弱者である子どもの保護される権利などは引き続き保障されていていますが、それと同時に、子どもが権利の行使主体でもあることを宣言したのです。
二つ目の特徴は、子どもの年齢や発達段階に応じて、権利の保障や尊重のあり方や方法を考慮し、よりよく子どもの権利が保障されることが求められている点です。子どもの権利条約で定義されている子どもは、0歳より18歳未満です。子どもを取り巻くおとなは、子どもが権利を行使するにあたり、子どもの発達しつつある能力を考慮しながら適切な支援を行なうことが要請されています。
三つ目の特徴は、子どもを孤立した存在としてみなすのではなく、家族、コミュニティの一員として、子どもを支える家族や地域への支援も重要としているところです。条約の前文では、家族を社会の基礎的な集団、また、とくに子どもの成長及び福祉のための自然な環境として認め、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきだとしています。また、国には、父母や家族が子どもに対して適切な指導・指示を与える責任および権利を尊重することが義務付けられています。
A:前文と本文54条からなりとても包括的な内容となっています。
主に、(1)生きる権利(安全な水、十分な栄養、生活環境、社会保護)、(2)育つ権利(教育、休息して余暇をもつ、必要な情報を得る)、(3)守られる権利(あらゆる差別、虐待、搾取より守られ、もし被害にあった場合は回復するための支援を得る)、(4)参加・意思表明の権利(グループ活動等)が含まれています。
http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html (ユニセフ協会ホームページ)
A:世界各国で条約が守られているかどうか監視・支援している国連・子どもの権利委員会は、以下の4つの基本原則を定めています。権利条約でうたわれているすべての権利を保障する際には、この基本原則を常に参照・遵守することが求められます。
1.子どもに対する差別の禁止
2.子どもの生きる、育つ、発達する権利
3.子どもの最善の利益の確保
4.子どもの意見を尊重すること
子どもに対する差別の禁止
すべての子どもたちに、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、意見、親の地位など、様々な要因によって差別することなく、平等に、権利条約にさだめられている権利を確保することが求められています。
子どもの生きる、発達する、育つ権利
子どもたちは、生命、生存および発達を保障される権利をもっています。ここでいう発達とは、身体的な発達だけではなく、心理的・精神的・道徳的・社会的な発達も含むものとされており、このような発達を可能な限り最大限に確保することが求められています。
子どもの最善の利益
子どもに関するすべての活動で、子どもの「最善の利益」が第一次的に考慮されなければなりません。子どもの最善の利益について決める時には、当事者である子ども(たち)の意見に耳を傾け、尊重することが必要不可欠です。
子どもの意見表明を認め尊重すること
子ども(たち)は、自分に影響を及ぼすすべての事柄について自由に自己の意見を表明し、それを年齢および成熟度に応じて正当に重視される権利をもっています。国連・子どもの権利委員会は、この権利をどのように保障するべきかについての見解を「一般的意見」12号としてまとめ、各国に子どもの意見表明と参加を推進するよう促しています。
〔リンク-子どもの権利員会・一般的意見12号(意見を聴かれる子どもの権利)〕
http://www26.atwiki.jp/childrights/pages/22.html
http://www.unicef.or.jp/kodomo/nani/base/ba_bod.htm (ユニセフ協会ホームページ)